青崎有吾 ――


『体育館の殺人』 東京創元社 (329P \1700)
★★★☆☆

 昔ながらのゴリゴリ謎解き推理小説なので嬉しくなる。エラリー・クイーン風との触れ込みだが、その割に文体は軽いのが残念。完全にライトノベルである。上梓当時、筆者は21歳の大学生ということで、軽い文体を新しい魅力と褒め称えるか、稚拙で物足りないと切り捨てるかは読んだひとそれぞれ。まあ、大目に見てあげれば、謎解き論理はしっかりしているし、楽しいと思う。探偵がアニメオタクという設定もいかにも今風であるが悪くない。シリーズ物として次を期待したい。鮎川哲也賞受賞。(→誤植情報

 『水族館の殺人』 東京創元社 (366P \1800)
 ★★★☆☆

 前作より確実に楽しくなっている。まず陰惨な殺人事件の舞台が爽やかな水族館というギャップがナイスだ。裏染と柚乃の、まるでデート然とした捜査風景が微笑ましい。各章のタイトルがさまざまな先達のパロディになっているのもわかると楽しい。しかし謎解きに関しては前作『体育館の殺人』のほうがしっかり出来ていたと思う。気になったのは、裏染が捜査に携わることになるいきさつが、いくらシリーズ物とはいえ、軽すぎ。仙堂警部の態度が、裏染から教えを請うたかと思えば、邪険にしたりと、統一していなくて、わざとらしい。(→誤植情報

 『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』 東京創元社 (250P \1600)
 ★★☆☆☆

 短編集。前々作、前作のネタバレ的部分もあるので、読むなら順番通りに読むことをおすすめする。しかしいかんせん詰まらない。解いているのが日常の謎ゆえに、警察は登場しない。袴田兄はチョイ役で出てくるが、仙堂警部は登場せずで、役者が足らず、話が地味。で、こんな真相あるか?ってなドッチラケな結末だらけ。情況証拠のみのこじつけ推理が酷い。裏染シリーズがよっぽど好きで、スピンオフも見逃したくないと思うひと以外は読む価値なし。

 『図書館の殺人』 東京創元社 (361P \1800)
 ★★★☆☆

 新キャラクターの梅頭刑事が嫌いだ。だって完全にネタキャラだから。青崎有吾はいまどき本格な謎解きが書ける貴重な人材なのに、一作ごとにラノベ臭がきつくなる。しかしそれ以外の、謎解きに関しては大満足。一気に読ませるスピード感が好い。意外な犯人をズバッと言ってくれる瞬間が、めっちゃ快感。殺人動機が弱すぎるとは思ったが、楽しめるエンタメってことで勘弁してやる。


『ノッキンオン・ロックドドア』 徳間書店 (248P \1600)
★★★☆☆

 御殿場倒理と片無氷雨の事件簿。不可能(How)専門と不可解(Why)専門探偵という役割分担が新しい。しかしそれならば出番の違いをもっと明確に分けてくれないとつまらない。性格も似たり寄ったりで、ファッションの違いと一人称の違い(僕と俺)くらいしか差がない。残りのメンバー(助手の薬子、警察の穿地、殺し屋の美影)のほうが魅力ある感じだ。トリックは、現実にはありえねえパズル系なので、割り切って楽しめるかたはどうぞ。


『地雷グリコ』 KADOKAWA (348P \1750)
★★☆☆☆

 これが山本周五郎賞、本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞を獲ったのか。時代は変わったなあ。これは評価が大変難しい。好みで分かれると思う。わたし的には、前半3話の酷さに放り投げる寸前だった。複雑な上に穴があって無理矢理なゲームルールに苛々する。ルールに明示されてなければ逆になんでもありって子供の屁理屈かよ。毎度の真兎の勝利方法に納得できず、爽快感を覚えない。しかし後半2話は好きになってしまった。とりあえず直木賞は候補作でとどまって好かった。中堅の青年作家がゲームアイデアを必死で考えた努力は認めるので、次はもうちょい大人な小説を書いてください。


『早朝始発の殺風景』 集英社 (205P \1450)
★★☆☆☆

 高校生を主役にした日常ミステリー連作だが、なんとまあ青臭い世界でしょう。無理矢理いい話を作ってるのが痛々しい。今どきの高校生で(というか昔からずっとそうだろう)、こんな素直な奴らはいない。あっさり読めてしまうボリュームなので、病院の待合室や美容院の順番待ちで読むにはいいかもね。