小原周子 ――


『病院でちゃんとやってよ』 双葉文庫 (356P \690)
★★★★☆

 いったいどうしちゃったんだ小原周子。前二作にあった性格の悪さがなくなっている(まったくなくはなく、探せば少しある)。老人相手のリハビリ病棟に勤めるナースの奮闘記だが、素直に主人公を応援できるハートウォーミングな世界に仕上がっている。まるで観月ありさが主演のドラマになりそう。病院の同僚と母親もいいキャラしてる。次から次へと登場するクレーマーまがいの患者家族たちが、どいつもこいつも同じタイプでワンパターンなのが非常に残念だが、もうちょっと話に変化をつければ、新しい老人介護小説の名作になり得る。

 『病院でちゃんとやってよ2 おかんむりナース!』 双葉文庫 (324P \680)
 ★★★☆☆

 やっぱり第一作と同じ面白さは無理だった。どころか、コメディーなのに読んでいて気分が良くなく、笑えない世界になってしまった。第一作で最も魅力的なキャラクターだった母親の茂子と、田村はほとんど出番がない。代わりに登場する新人の潮田の巫山戯た態度は、腹立って殴りたくなるレベルだし、モンスター患者家族の杏美は、横暴すぎて、わたしが当事者だったら警察呼ぶレベル。しかしストーリーの運び方は上手で、続きが気になってノンストップで読んでしまう。暇つぶし小説としては十分アリだ。感動するかムカつくかの感想は、読んだひと次第だろう。(→誤植情報

 『病院でちゃんとやってよ3 人生においしいリハビリメニュー』 双葉文庫 (292P \670)
 ★★☆☆☆

 見事に劣化したな、このシリーズ。妙に甘ったるいだけの恋愛小説になってしまった。主人公・新菜の恋心の変化しか読むポイントがなく、これでは病院を舞台にしているこのシリーズの存在意味がない。新キャラ・茅野主任の、取って付けたような性格の悪さも安直に思えた。一般ウケを狙った小説を惰性で書くようになったら、作家はおしまいだぞ小原周子よ。


『わたしは誰も看たくない』 講談社 (308P \1600)
★★★☆☆

 いわゆる"イヤミス"が流行ったりして、読んでいて嫌な気分になる小説は世に多くなったが、この小説も相当なものだ。何をとち狂ってここまで心の捻じれた主人公を描こうと考えたんだか。主人公の心理よりも、作者の心理のほうに興味が湧く。あり得ないレベルで憎しみ合っている姉妹の話であるが、実はけっこうリアルなのかも。娘たちに刃向かえない母親の存在がとても好き。何でも他人のせいにして生きている主人公を反面教師にして清く正しく生きなさい、という実は心優しいメッセージ本なのかも(笑)。


『留子さんの婚活』 講談社文庫 (320P \730)
★★☆☆☆

 老人の婚活話に介護問題をからめた、なかなかにユニークな視点の小説だが、作りがハチャメチャで、突っ込みどころが満載で、呆れてしまった。留子さんが婚活を始めた考えにそもそも納得出来ないし、相手の幸三はキモイし、無理な展開するし、結末も、え?こんな結末でいいの?という感じだ。介護のプロだったはずの小原周子にしては、中身が薄い。まあ、こんなハチャメチャなコメディーが好きな読者もきっといるだろうとは思うよ。


『新宿ナイチンゲール』 講談社 (261P \1450)
★★☆☆☆

 現役ナースが書いたナース小説で、小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。真面目なナースの話だったら応援してあげたかったが、漫画喫茶で暮らすヤリマン不良ナースの話だったので、個人的には嫌い。長編の形はしているが、いくつかの介護エピソードを連作のように順々に書いてるだけで、繋がりが悪く、テーマがなかなか見えない。でも文章は下手じゃないし、最後のまとめ方は上手だと思うよ。主人公の選んだ行動が気に食わないけど。(→誤植情報