なんとも実に可愛らしい話だ。ギョットちゃんと仲良しなのはアヒルの一家だグワグワ。幼なじみの鹿に、フクロウ兄弟もいるホウホホウ。カラスのカイカアとカアチンもいいけど、いちばん可愛いのは、いつも喧嘩と仲直りを繰り返してるリスのカップルだろうな。この本の哲学は、「みんな仲良く」。みんなで楽しくすればくだらないいざこざは消えてしまうよ、ってことで、メッセージがちょっと道徳の教科書臭いのが玉に瑕だけど、間違ったことは書かれてない。心が楽しくなれること請け合いだ。なお挿絵も阿川佐和子さんが描いており、下手は下手なのだけど、とても味のあるイラストなので、感心。イラストがなかったらたぶん、ここまで面白くは読めなかった。
老母にボケが始まってしまい、娘との二人暮らしが始まったお話。高齢化が進んだ現代においてはもう、こうした介護ネタは“あるある”なのかも。明るいタッチで描かれていて、基本的に楽しく読めるのだが、後半に進むにつれて段々と増してゆく切なさと悲しさが、かなりの絶品だ。阿川弘之が描いたホームドラマに雰囲気が似ているなと感じた。昭和時代の古き良き家庭の姿なのかも。タイトルの洒落も上手に思った。主人公母娘の名前が“琴子と香子”なのだ。香子のフードコーディネーターの仕事と引っ掛けて、ことこと煮る意味もある。母と娘の愛情もしっかりと煮込まれていて、大変おいしゅうございました。老人介護はこんなに簡単じゃないよ?と怒る読者もいるかもだけど、小説ってのは基本的にハートウォーミングなものが喜ばれるのだし、これはこれでいい。
女性検事が主人公というと、ガチガチのミステリーかハードエンタメを想像してしまいがちだけど、とてもサラッと読みやすい、さわやか系青春ストーリーに仕上がっている。NHK朝ドラみたいな世界だ。近頃の女性作家が描く恋愛だと、妙にスカしてたり、主人公の心理がひねくれてて、特に男性読者には理解し難いものばかりが多いけれど、この本における阿川流はとても素直で分かりやすくて、共感度満点で感激した。凛々子と虎子の、喧嘩したり仲直りする様子が微笑ましいのなんのって。しかし扉裏の「主な登場人物」で紹介されているのが、ほとんど出番のない雑魚役ばかりなのはどうしてなんだぜ。
平成の女子高生とばあさんが昭和38年(ばあさんが15歳だった年)にタイムスリップするストーリー。インパクトがある話ではないけれど、阿川さんらしいほのぼのが感じられて、いいんじゃないだろうか。タイムスリップする細かい仕組みや、過去をいじるパラドックスなんてろくに考えていないおおらかさが、逆に微笑ましい。過去のばあさんとのからみが少ないのが残念だけど、そのぶん他の登場人物に魅力がある。チョイ役ながらタイムスリップ上級者(笑)西原の存在が好きだ。(→誤植情報)
この小説が書かれたのは2001年だそうだが、2001年ってこんなに昔だったか?「売れ残り」が見合いをするストーリーが昭和の感覚だし、主人公が転職した職場のノートパソコンが「カラー液晶」で驚くなんて時代がずれてね?阿川さんが古い女だということかも。そんな昭和のテレビドラマになりそうな楽しい話ではあるけど、インパクトが足りない。主人公の麻子に魅力がない。麻子の上司である工藤がいけ好かないキャラで、個人的に大嫌い。
まず、子供向け小説なのに「大人の事情」を描かないで欲しかった。ウメ子とお父さんとお母さんが別れて暮らしてる理由なんて、子供にはどうでもいいんじゃね?全体に漂っている貧乏臭さといおうか、酸っぱいような臭いもよくない。なにせ可愛らしさがちっともない。語り手のみよもウメ子も、感覚がちっとも幼稚園児じゃない。大人っぽいどころか、まるでババアじゃねえか。坪田譲治文学賞受賞。
なんとも当たり障りのない小説だ。阿川佐和子さんはけっこういい大人のはずなのに、近頃のねえちゃん作家が書くような中身のない小説を書くたあ、どういう了見だ。もしかして流行に迎合してけつかるのか?ほのぼのラブコメでありながら、主人公含めみな性格がひねくれてて、誰ひとり応援したいキャラがいないのが問題。いや、誰ひとりってことはないか。愛すべきキャラなのは、ほんのチョイ役の、オカマの石橋先生のみ。
なんちゅうか特にメリハリのない、マイルドな恋愛話だこと。女が観るドラマの原作にはなれそうだが、男が読む小説じゃねえな。阿川さんはいわば売れ残り女なのに(ごめんなさい阿川さん)、婚約した女性の気持ちをよく描けるものだと変な感心をした。島清恋愛文学賞受賞。
この本のつまずき。こまっしゃくれたクソガキの倫土(ロンド)が最初から最後まで好きになれなかった。他にも、ズボラな室田、オッパイ女のマリイ、エロジジイのシゲルなどなど、癖が強すぎて、共感できないキャラばかり。そして他人の悪口と愚痴ばかりが延々と語られる内容にウンザリだ。セックスネタが多いのも閉口。ネタバレになるので詳しくは言わないが、ラストでのコイツラのいい加減さもムカつく。あと主人公のひとりの名前が「未来(みく)」なのだが、パッと見、どうしても「みらい」と誤読してしまうので、小説の登場人物の名前としては好ましくないな。(→誤植情報)
『ことことこーこ』 KADOKAWA (387P \1500)
★★★★☆
『負けるもんか 正義のセ』 KADOKAWA (413P \1400)
★★★☆☆
『ばあさんは15歳』 中央公論新社 (358P \1600)
★★★☆☆
『屋上のあるアパート』 講談社文庫 (304P \533)
★★☆☆☆
『ウメ子』 小学館 (252P \1500)
★★☆☆☆
『スープ・オペラ』 新潮社 (373P \1600)
★★☆☆☆
『婚約のあとで』 新潮文庫 (448P \629)
★★☆☆☆
『うから はらから』 新潮文庫 (503P \750)
★☆☆☆☆