研修医シリーズよりずっと好きだ。こちらはバリバリの中堅医師が主役だ。何度も出てくる緊急手術シーンの迫力が凄い。一般人には分からないオペ用語がじゃんじゃん出てくるが、それがカッコいい。主人公はスーパー外科医だが、完璧ではないわけで、まさに「俺たちは神じゃない」と悩んでいる描写が上手い。個々のエピソードは面白いものの、オチが弱くて、繋がっていかないのが残念だ。剣崎・松島の主人公コンビ(ついでに研修医の荒井)の将来より、麻酔医の京子、稲田医師、山極院長、そして患者の吹田らは今後どうなるのか、気になってしゃあない。(→誤植情報)
『救いたくない命 俺たちは神じゃない2』 新潮文庫 (369P \710)
臭くなってしまった。無理に感動話を作っている臭さがある。表題作において、救急搬送されてきたのが無差別通り魔で、知人を殺した犯人だなんて、偶然すぎもよいとこ一度はおいでだ。他の話も、医療ネタがメインじゃなく、下手な人生ドラマが増えた。前作で悶着があった稲田医師のその後を書いてくれたのはよいけど、一応書きましたよ、と言わんばかりの内容の薄さでがっかりした。
研修医ってこんなにバカなの?という意味で衝撃的な内容だった。主人公の研修医が盲腸手術を執刀する場面があるが、手際がほとんど素人じゃねえか。自分が患者になったらと想像すると恐ろしい。文章も上手じゃなくて、そこらのブログに毛が生えたレベルだ。そのぶん主人公の若さがリアルに感じられて、応援したくなる不思議な効果あり。序盤は主人公と作者の青さばかり気になるが、後半はいい話だ。マジで泣ける。
『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』 幻冬舎文庫 (405P \710)
後期研修の段階に入るともう「研修医」とは呼ばれず、肩書は「外科医」に変わるそうだ。新人外科医となった雨野くん、ちょっとは成長したかなと思いきや、相変わらずのポンコツぶりがひどい。ひどすぎて笑えない。この小説はあくまでフィクションであり、実際にこんな下手くそ医師はいないよね?うん、いないよと作者さんには言って欲しい(笑)。ポンコツ雨野を中心にして、まわりのひとたちのあたたかさで感動話に仕立ててしまう、ある意味けしからんシリーズですよ。
『走れ外科医 泣くな研修医3』 幻冬舎文庫 (396P \710)
安定の面白さになってきた。シリーズものというのはたいてい、第1作がピークで、劣化していくのが普通だが、逆に面白くなっていく珍しい例かも。政治家の柏原が患者のパートが最高。松田のパートは尾籠につき苦手(汗)。気になることとして、麻布病院シリーズと同じくこちらも、医療ネタから離れたエピソードが増えてきた。普通のほのぼの日常小説が読みたかったらこの本を選ぶ読者はいないわけで、路線変更は勘弁して欲しい。いまのところは面白いのでまだよい。いまのところは。
★★☆☆☆
『泣くな研修医』 幻冬舎 (270P \1300)
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆